恋にお寿司に音楽に

棺桶には寿司とCDと愛を入れてください

お人形さん

 

 

私のクラスの一番前のあの子。


可愛くて、それでいて綺麗で。
いつも笑顔で品がある。
まるでお人形さんみたいな人。

 

それに比べて私は、教室の隅に落ちている消しゴムのカスより価値のない人間。

 

もしもこの世に根暗選手権があったならきっと私は県大会優勝して全国へ遠征して地元のヒーローになれる。

今ごろ母親は横断幕の制作に大忙しだろう。

 

そんな馬鹿げた妄想をするくらいには私の性根は腐っているし、こうしている間にも『お人形さん』は学校のカースト上位の人たちと放課後どこへ行くかなどの話題で盛り上がっている。
どこへでも行けばいいじゃん。

あの子はいっつも笑顔で私とは正反対。

 

彼女の事を苦手なのは正直羨ましいからで、つまりは“嫉妬”だ。

情けない。本当に情けない。

 

私だって学校終わりに友達とショピングモールでプリクラ撮ったり、サーティワン寄ってカラオケとか行きたいのに。

 

でも私は感情もないし、
好きも嫌いも言えない。

無表情なのは多分一生治らない。

 


 

なんだ私も人形みたいじゃんね。