恋にお寿司に音楽に

棺桶には寿司とCDと愛を入れてください

“恩返し”

ーーーーーーーーーーーー

 

男「クソッ! 」バンッ

 

店員「お、お客様!台を叩かれますと故障の原因になりますのでおやめください!」

 

男「うるせぇ!全然当たらねぇから叩いてやったんだ!おらおら!このクソ台がよォ!」 バンッバン

 

店員「お客様、静かにご遊戯されないならご退店ください!」

 

男「チッ…クソがっ!!あぁ出てってやるよこんな当たりもしねぇクソパチンコ屋なんてよ!二度とくるかこんな店潰れちまえッ!!」

 

―彼の名は後藤勝也(ごとうかつや)
プロ野球選手として活躍するも2年前に事故にあい引退。自暴自棄になり新しい職を探すことなく今はただパチンコ店に入り浸りこうして悪態をつくようになっていた。


勝也「ったくこの街のパチ屋もだめだな次の店を探すか…うわっ…!」

 

なにかに躓いた勝也は足元に目をやるとさっきまで誰かが飲んでいたかのようなタピオカミルクティーが地面にこぼれていた。

 

勝也「あぶねぇな誰だこんな所に捨てた奴は。ホントにバカしかいねぇなこの街は。ま、俺も拾わないんだけどね笑」

 

勝也「………」


そのまま立ち去ろうとした勝也の背中にゾワッと使命のようなものを感じた。
勝也の中にいる何かに呼び止められたような感覚だった。


勝也「………。………チッ…わーったわーった。拾うよ拾うよなんだって俺がこんなもの拾わなきゃならねーんだ!つくづく俺は神経質なんだ!」

 

勝也はおもむろにタピオカミルクティーを拾うと散乱したタピオカを容器に戻し道路脇にそっと置いた。


ーーーーーーーーーーーー

 

ある日、パチンコで負けていた勝也は不機嫌そうな顔で歩いていた。すると高校生程のギャルが勝也に声をかけた。

 

ギャル「なぁ、おじさん」

 

勝也「んぁ?なんだなんだ人のことおっさん呼ばわりしやがって。しかもガキじゃねーか誰だお前」

 

ギャル「こないだ助けてもらったタピオカミルクティーだけど」

 

勝也「は?タピ…はぁ?」

 

ギャル「いやだから、こないだ落ちてるとこひろってくれたっしょおじさん。そん時のタピオカミルクティーだけどって」

 

勝也「…な、なに言ってんだ?しかも助けたってただ拾って脇に置いただけだし。第一タピオカミルクティーは生き物じゃないだろ。第一なんでお前がそれを知ってんだよ」

 

ギャル「はぁ…あのさぁ。ウチがマジのJKだったらこんな汚いおっさんに声かけねーっつの。ウチはタピオカミルクティーなのそれ以上でもそれ以下でもないし」


勝也「まぁたしかに…って失礼なやつだな!じゃあそのタピオカミルクティーさんとやらが俺になんの用だよ!」

 

ギャル「恩返し的な?お礼、してあげなきゃってさ」

 

勝也「お、お礼…」ゴクリ

 

ギャル「……おっさん、いま変な事想像したっしょ。キモすぎ」

 

勝也「…バ、バカ!し、してねぇよ!!」

 

ギャル「勘違いすんなって変態。
…お礼ってのはね、一度だけ時間を戻してあげる事だよ。」

 

勝也「時間を戻す?」

 

ギャル「聞こえなかった?」

 

勝也「いやいやお前そんなことできるわけねねぇだろアホか?ww」

 

ギャル「わかる。信じれないわな。
じゃあさ、そこに本屋があんじゃん?ちょっと見てて」

 

 

店員『ありがとうございましたー』
通行人『いやぁ〜やっと人気ラノベ【妹のくるぶしは硬い】の新刊をゲットしたぞぉ〜!これは帰って熟読ですなぁムフフ…』

 


勝也「なんだあいつ気持ち悪ィな」

ギャル「いくよ」
キュピルルル〜★

パッ


勝也「き、消えた!?」

 

 


店員『ありがとうございましたー』
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勝也「な!!!?なんだ!?
繰り返した…!??」

 

ギャル「どう?信じた?」

 

勝也「お、おめー…ホントにいつでも戻せるのか…?」

 

ギャル「もち」

 

勝也「マジかこれはヤバイぞ…
パチンコで当たる台を調べて戻すか…いやまてよ競馬で万馬券を見てから戻して…ブツブツ」

 

ギャル「こいつカスじゃね…」

 

 


ーキャー!!! ドンッ

ざわざわ…

 

勝也「ん?なんだ?」

 

ギャル「うわっ子供が横断歩道で車に轢かれたよやば」

 

勝也「うおっホントだやべー!!
こりゃ大変だ!!こうなったら…」

 

ギャル「お、使うんだね?時戻し」

 

勝也「は?使うわけねぇだろ。早くここを立ち去るんだよ。面倒くせー事に巻き込まれたくねぇからな」

 

ギャル「え、え?マジ?だいたい普通の人ならこーゆー時使っちゃうんだけどな」

 

勝也「アホか!せっかく手に入れた時戻しだ。俺のために使わなくてどうする。さ、パチンコいくぞ」

 

ギャル「こいつ…本物のカスじゃん……」


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かくして鶴の恩返しならぬ
タピオカミルクティーの恩返しが幕を開けたのである。

 

 

 

 

〜その日の夜〜

 


ギャル「うっわチョー汚いんだけどマジありえないんだけど!!」

 

勝也「うるせぇな!てかなんで俺ん家来んだよ!!」

 

ギャル「こっちだってこんなゴミ溜めみたいな家いたくねーっつの!!アンタが時戻ししてくれりゃさっさと終わるの!早くテキトーに時戻し使ってよ!」

 

勝也「バカヤロー!そんな便利なものいざって時に取っとくのが普通だろ!その辺でジッとしてろ!それともなにか?助けた恩を忘れたのかな〜??」

 

ギャル「…むう…チョーシ乗りやがって…てか風呂も入らないのアンタ?」

 

勝也「風呂なんてのは一週間に一回で十分なんだよ」

 

ギャル「…ヤッバ、きっしょ…。ウチ風呂入らないの無理だから使わせて」

 

勝也「あぁ?ミルクティーに風呂なんて必要なのか?」

 

ギャル「うるっさいな。あと、覗いたら殺すかんね?」

 

勝也「お!鶴の恩返しみたいな展開じゃねぇか!」

 

ギャル「いやフツーにJKの風呂覗くとかアウトっしょ警察呼ぶよ?」

 

勝也「ごもっともです」

 

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